薬剤師業界情報

有給5日って取れるのか

2019年4月1日。全国の小規模運営の薬局に激震が走る、
まただ。大手にとってはどうでも無い。
中小企業を元気にするという政策の一環だが果たしてどうなのか。

年次有給休暇の指定義務化が来る。

そう、1年で5日間の有給取得が義務化される。(年10日付与される該当者)
(勤務時間数、集時間によるがパートももちろん該当する)
また、雇用側は年次有給休暇の取得状況を3年間保存しないといけない。
ポイントは、

・旧来通り、労働者による取得申請(小規模では無理)
・雇用側から時期を打診し、双方合意のもと5日間取得。
・労使協定を結び、長期休暇中での取得
(後述するが、これは認められない時期がある)

[chat face="woman1.png" name="" align="left" style="type3"]私は大手だから、有給どころか年次休暇として連休取得が年で10日間程度あるわ[/chat]

[chat face="man4.png" name="" align="right" style="type3"]えっ??ワシなんて、有給なんて取った事ないけど。それにワシが休んだら、代わりの薬剤師おらんけど。有給毎年捨ててるけど。[/chat]

[chat face="woman1.png" name="" align="left" style="type3"]信じられない。小規模の薬局はそうよねぇ。私は勤務地、安定、休み重視だからお給料よりも、休みなの。でも給料高くていいじゃない?[/chat]

[chat face="man4.png" name="" align="right" style="type3"]ワシらのような小規模薬局は休みなんか取れん。まあ給与は高いが福利厚生は、ほぼ無いわな。個人年金、保養所、割引、株購入、株年金とかの。ただ休み0は本当に困るんじゃ、冠婚葬祭でも休めん地域あるんじゃ。[/chat]

[chat face="man4.png" name="" align="right" style="type3"]休み取れないから、時給に換算したら結局大手の方がいいような・・・・気がするんじゃが・・今の小さい薬局辞めようかな。[/chat]

 

そう、これは地域、薬局規模、株式会社か合同会社か等で皆取得状況が全く異なる。
取得できていない状況が違法かどうか、はもちろん最優先で重要なファクターだが
取得できかねる状況にある一人薬剤師、における勤務状況はまだまだ全国に無数に
存在しているのだ。その背景には、

・開局薬剤師である場合
・門前Drと最後までついていきますパターン(勤務薬剤師では稀)
・在宅が多く、医療としてのプロ冥利の場合(意外と多い)
・一人薬剤師で休みがほぼほぼないが、高給与(ほとんどこれ)
・MAの準備段階で致し方なく最終業務処理中
・医療過疎圏かつ高給与(一定数いる)

と多岐にわたる。この有給問題は、特段最近出たわけでなく、毎年毎年
各地域で多発していたがこの度法令化にする事によりさらに問題が出る可能性がある。

薬剤師の離職でかなりの高確率で遭遇する、
休みが取れない・有給消化が全くできないという理由。
薬剤師転職おすすめサイト記事参考

最もな理由だが、医療専門職、専門職という条件付きで
かなり難解な問題である。専門職は、専門職がいないと
仕事ができない。
専門職は、該当者が出勤しないと開店ができない職種だ。
一人薬剤師またはギリギリの生産性で運営、または
受け入れ在宅数は少ないが一定数の在宅がある場合、
薬剤師が一人抜けると、運営が極めて困難または閉局である。

じゃあ閉局していいのか?
例えは悪いが、社会的インフラを伴う業務職種において
臨時休業は社会的に認められない。それが日本。
(認められる国も一定数存在する)
さらに受け入れ業務中心、いわゆる個人単独での
生産性が無い職種なのでこれがまた辛い。
(食関連業務のように、自己生産による売り上げがほとんど無い)
(例:パン屋)

一人薬局薬剤師で、感染性病態になった場合、休むのは義務だ。
だが門前の処方はどうするのか。そこが肝。
閉めるのか?そんなこと社会的に許されるのか。
(休まないといけません)

過去に、東北大震災が起きた時、個人薬局が相次いて
ボランティアで参加した。その際、自分の薬局は一時的に休業し
参加されていた薬剤師が数多くいた。
その際は門前医院への説明だけで急遽交通に飛び乗り参加した次第だそうだ。
長くて二ヶ月ほど休局されていた薬局もある。
閉局における薬局へ患者から電話等はよくかかっていたが、
患者自身も、いつもの薬局が閉まっている為、空いている近隣の薬局を自身で選択して薬を受け取ってたそうだ。

では、再開局後、患者が戻ってきたか、という質問だが

答えは、イエスなのである。

閉局における社会的意義、かかりつけにおける意義も存在はするが
こういった観念のみであれば閉局は視野に入れていい時代が来ている。
患者も、いつもの薬局が閉局していれば自身で選択する。
高齢者の場合、他の薬局を選択する、という問題は非常に難しい。
まして医療過疎圏ではどうなるのか、それも考慮すると
判断に迷う。医院へ急性期対応の薬品を配置しておく、というのも
方法ではある。

今回のポイントは震災等における長期休局ではなく、
薬剤師の有給取得だ。

薬剤師業界で言えば、有給は、取得できないけど
同地域医療圏の薬剤師に比べ、また大手と比べてかなりの
高額な給与にしているから、そのあたりうまく分かるよね?

というのが、薬剤師確保において困窮している小規模薬局の
運営側の思想、そう思想なのである。

雇用側と勤務側は相容れないのが事実。
運営側の思想も痛いほどわかる。

門前医が休まないのに、なぜ薬局が閉めるのか。
その意見も最もなのだが労働者は関係無い。
勤務側は、薬局開局における社会的責任なんて
知ったこっちゃ無いのである。
責任は雇用側に100パーセントあるのが、
現在の法治国家なのだから。
なのでどんな規模の薬局でも、今回における
有給取得で、運営方針を小規模薬局中心に行う必要がある。

この話をしていて、大問題に感じた意見は、
最上部にある、

労使協定を結び、長期休暇中での取得する。

[chat face="man1.png" name="" align="left" style="type3"]じゃあ年末年始休暇が会社にあるので、そこで消化させたらいいかノォ。[/chat]

これは結論から打診すると不可。

もし、今の薬局に夏季休暇や冬季休暇、
名前によっては特別休暇、特別年末休暇、特化休暇等で名前やスタイルを変え
年末年始、GW、お盆等の休みにそのような休暇名で付与されている場合は
その箇所に有給を当てる事は法令で認められていない。
これは今回からではなく、ずっと前から決めれれている内容であって
雇用側都合だけの頭で考えないようにしたい。(労働者の不利益になるため)

有給休暇は取得させないといけない。
それがどのようなパターンでも結論に至る。
今更当たり前なこと何言っているのか、と思うかもしれないが
有給取得していない薬局は本当にしていないのだ。

薬局側の方法としては、人材派遣会社4社に一斉に登録し、
短期間の派遣を願うことである。
この難しさは、例えば3月5日だけ、1日だけお願いします、
は極めて難しい。
打診応援可能な内容は、おおよそ最低でも3日前後
の連日勤務(派遣側は他県からくる場合が多い)。
もちろん交通費、宿泊費用も負担業務になる。

請求時給は、派遣のため、おおよそ
4500円以上を考慮しておくと滞り無い。

例:
過去休めなかった太郎 を有給取得させる

[chat face="man4.png" name="" align="right" style="type3"]私が過去休めなかった太郎です![/chat]

・・業務多忙の為、相談合意の上、会社が定めた
今回は連続した3日間の取得を目指す。

派遣薬剤師N登場。
・全国派遣可。 請求時給5200円。
5200円×8時間業務×3日間=12万4800円
・前入り含め3日間の宿泊費別途
例12000円(1泊)×3=3万6000円
・ホテルー薬局間交通費
この場合、バス電車の場合、タクシー等企業により異なる
例 往復1200円×3日分=3600円
・他県からきた為、往復の新幹線等交通費
例 往復コミコミ25000円
・謝礼ある場合謝礼
この場合ギフト券等(地域により異なる)
おおよそ合計 18−19万円、3日間の支給で生じる可能性が
小規模の薬局は存在する。感覚的な平均で、全国を緊急時で高額な時給で
移動勤務している薬剤師がいるが、宿泊費、移動費含め
おおよそ1日6-7万の経費がかかる可能性は一つの目安であろう。

[chat face="man4.png" name="" align="left" style="type3"]ワシ一人休むのに1日6万くらいかかるん??[/chat]

そういう事だ。
労働者側は、経営側が有給取得に向けて動かない場合(意図的か、ただ知らないかは
別として)、もうご自身で上記のように打診したい。
もし、打診してもウンともすんとも言わない薬局の場合、即退職が望ましい。
今後、様々な条件、法令が整備されるが対応できない会社は淘汰されるのだから。

最後のポイントだが、時々、有給消化率を転職時に
聞く薬剤師がいるがやめた方がいい。
率で算定してしまう場合、年内に退職者がいた場合、もしこの薬剤師が
一気に有給を消化して退職した場合、有給取得率は跳ね上がるのだから。
他の薬剤師が一切有給を取ってなくても。

 

薬剤師として薬局へ転職したい、したいが方法がわからない、自己アピールがわからない、給与交渉を任せたい、このエリアで、ワークライフを守って就職してみたい、

そのような相談も受け付けています。気軽に、問い合わせ欄からお問い合わせされてください。区間で1−2名内のみの受付なのでルーズには対応致しません。

 

また、薬局企業を立て直したい、従業員教育について目をむけたい、うまく組織化して、生き残る薬局を目指したい、そんな経営を目指したいが何をすればいいかわからない、そんな相談があれば、気軽に、問い合わせから連絡をされてください、力になります。

 

また、研修についてプランニングしていきたい、ぜひ一緒に考えましょう。

薬剤師評価制度についても相談、面談を受けていますが時期により一社のみの対応にしています。(力を入れるため) ご相談はお早めに。

 

薬剤師の98%が知らない薬局運営術

薬剤師ブログ著者

 

 

 

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