薬剤師業界情報

読んだことのない資料。「保険調剤のために」その1

薬局薬剤師として働いているのに意外と見られていない資料。
それは、厚生労働省が毎年毎年律儀に発表される「保険調剤の理解のために」。

地域によっては薬剤師会で配布されている「保険調剤の理解のために」。
見たことある薬剤師も多いかと思います。

薬局薬剤師における基本的な情報が網羅されていますから
ピックアップしてチェックしておきましょう。

 今回のくじら薬剤師ブログ

  •  令和2年の保険調剤の理解のためにが理解できるようになる
  •  医療安全対策研修、ほんとにわかってる?だいたいじゃない??
  •  新米管理薬剤師は要チェックの情報がわかる




保険調剤の理解のために。大事なのを羅列してチェック。

これは、ベテラン薬剤師レベルでは旧知の事実かもしれません。
実際に一つずつチェックしてみましょう。

注意

薬局開設者にも一定の義務責任がある旨を明確に記載された

がーん
どどど、どういう意味にゃ?今までは薬局開設者には責任がなかったのにゃ??何か起きたら全部現場の責任で、トカゲのしっぽみたいに開設者はノーリスクで経営してたのかにゃ??
全くの責任は発生しない、となってしまうと語弊があるけど、基本的には管理者の責任だったんだ。
くじら薬剤師
がーん
おそろしいにゃ。。そんな。。

開設者の責任の一つに「薬局における研修計画の作成の旨」があるので注意しましょう。
研修計画で一番わかりやすいのが、年2回の医療安全の研修計画。
資料の含めて3年の保存義務があるので、廃棄しないように。

また、数年前に大問題になった「薬歴未記載問題」も
該当の薬剤師、管理薬剤師だけでなく、開設者の監督義務があります。

医療安全研修は地域によってまばらですが薬剤師会で実施されているもの、
自薬局独自で行うもの、卸に頼んでいるものと複数に分かれています。

医療安全対策研修(薬局)のまとめ

 医療安全対策薬局のまとめ

・年2回の医療安全研修が必須
・うち1回は集合研修(企業が異なってもよい)が推奨されている地域がある
・研修計画は、薬局ごとに計画する必要がある。
研修計画のポイントは以下となります
・医療安全対策研修
・地域包括医療連携研修
・在宅推進関連普及研修会
・副作用(インシデント報告)対策研修会(薬局内で良い)
・専門分野研修(薬剤師個人に委ねる)
・インシデント、事故報告後の対策と流れは業務手順書へ記載しておく
・事故報告等の管理責任は管理薬剤師となる
・事故報告が生じた内容、処方箋のコピー、調剤録は3年間ファイルで保存
・インシデント、事故報告研修は年1回は行いましょう(義務ではないが推奨)
・新規採用、中途採用薬剤師が入社した場合は、年に2回行えるように手配する
・医療安全対策研修の内容は2年間保存
・安全管理の業務手順書は年に1回見直す

医療安全対策研修の内容、参加者の記載したものは2年間保存。
これらは管理記録簿の保存と同様に行って挟んでおけば
管理記録簿廃棄と同時のタイミングで問題ないので楽。
(管理記録簿へは研修計画、研修実施内容を記載する項目があります)





意外と忘れやすいのが、中途薬剤師への医療安全対策研修。
年度内に医療安全対策研修を2回していないのであれば、入社後でもいいですが
よくあるのが薬局内で既に1回終了していた場合。

中途薬剤師にも、医療安全対策研修は忘れないように実施しましょうね。

中堅薬剤師
中途薬剤師さん入社後に、医療安全対策研修をするのはすっかり忘れてたわ。

 

何度も出てくる「不適正・不適切な処方」

処方箋は医師が発行するもの。
薬の選択、治療筆頭は医師。
添付文章に用法が記載されているとはいえ、
医薬品によっては記載される「適宜増減する」文字。

しかし、適宜増減も行きすぎていれば個別指導の対象。
業務上、疑問しか湧きませんが現段階の指導対象、
また疑義紹介する職務があるので知識を一読しておきましょう。

個別指導対策をしていれば、通年言われている処方鑑査の注意点。
具体的にチェックしていきます。

 複数の規格単位がある医薬品の場合に、規格単位を記載していない。
・インスリン注射液の使用単位数の記載がない
・使用部位の記載がない
・ 記載が不適切である(例:「医師の指示どおり」、「必要時」等のみの記載)
・ 約束処方による医薬品名の省略や記号等による記載医薬品医療機器等法の承認内容と異なる適応症への使用が疑われる処方
・ ゾルピデム錠を統合失調症、躁うつ病に伴う不眠症の患者に投与
注:これは旧来から薬局にとってかなり厳しいですよね。
個別指導時に狙われる定番の内容ですが、正直いって難しい。
・ 抗菌薬、化学療法剤を投与していない患者に対する耐性乳酸菌製剤の投与
注: ビオフェルミンRなど、いきなり耐性の整腸剤の処方は不可ですよね。医薬品医療機器等法の承認内容と異なる用法・用量の処方
・ アムロジピン錠、テルミサルタン錠、ドキサゾシン錠、
ロキソプロフェンナトリウムテープ等の1日2回投与
・ テラムロ配合錠BPの1回2錠投与
注:1日2回投与に関しては、少し古い情報なのでしょうが
これも個別指導の内容ですよね。疑義紹介したかきちんと薬歴へ
記載する必要があります。・重複投与が疑われる処方
異なる医師による湿布の処方(同一使用部位)
注:これは同一使用部位、と記載されましたので
複数科で複数の湿布が処方されている場合、部位について
薬歴へ明記する必要がありますので忘れないようにしてください。異なる医師によるNSAIDsの内用薬と坐薬の処方
薬剤の処方内容より禁忌例への使用が疑われる処方
・ 緑内障が疑われる患者に対するPL配合顆粒、オキシブチニン錠等
・ 気管支喘息が疑われる患者に対するカルベジロール錠等
過量投与が疑われる医薬品の処方
・ トリアゾラム錠0.25mg(高齢者に対し、1回2錠)
倍量処方が疑われる医薬品の処方
・ 他剤が56日分処方に対して、ブロチゾラム錠0.25mgが1日1回2錠28日分処方
(他にトリアゾラム錠、エチゾラム錠、ゾルピデム酒石酸塩錠等)
引用:保険調剤の理解のために令和2年度 厚生労働省

処方日数を倍量にするための処理等は、薬局側ではどうにもなりませんよね。
薬理学的に問題のあるもの、相互作用、
添付文章における用法の逸脱が疑われるものは、きちんと対策をしておかないと
指導されてしまいますのできちんと疑義紹介することが重要。

湿布に関しては電子レセが普及してきたため、
用法部位、回数における不備が少なくなってきた印象ですが
まだまだ部位未記載は多いですから薬歴へきちんと記載して対策しましょう。

くじら薬剤師
ついでに復習しよう。嚥下困難者用製剤加算を算定した場合においては、一包化加算は算定できないから注意!




処方箋の薬剤師名の記名押印は忘れないように。

 

時折、地方によっては、調剤済処方箋にする際の印鑑で不備が出ているようです。
保険調剤の理解の令和2年度版を見てみましょう。

処方箋へ記載するべき事項に記載されている(薬剤師法第26条、同法施行規則第15条)通り
印鑑の空欄には、 保険薬剤師氏名と印鑑が必要です。

何度か見かけたのは、薬局名所在地、薬局名の印鑑と、日付いりネームスタンプの押印のみの薬局。
この場合は上記の画像に記されているように、記名扱いになってしまうので押印が別途必要です。

注意

処方箋記載事項で、薬局名、日付いりネームスタンプのみの押印では不備。必ず押印しよう

処方箋の保存期間は大丈夫でしょうか?

・通常の処方せん保存期間は3年。
・生活保護法に基づく指定医療機関医療担当規定等に係る場合は完結の日か
5年間保存

補足ですが、面で受けてる薬局では
処方箋をFAXやオンラインで多く受けている薬局がありますよね。

処方箋原本とFAXの内容は必ず確認しましょう。

がーん
えっ??なんでFAXの内容と原本を確認しなきゃいけないのにゃ?同じでしょにゃ??
規則規定の内容の話では必ずチェックする必要があるんだけど、まれに薬剤や用法が異なる場合があるんだ。
それはクラークさんが処方入力記載間違いに後で気づいた場合や、Drの処方修正でFAXした後、呼ばれる場合があるんだよね
くじら薬剤師

くじら薬剤師も過去に数度、FAX内容と処方せん原本の内容が異なってる場合が。
ここは注意して薬局薬剤師は注意したい内容。

地域連携・地域包括の勉強会は参加する必要がある

4年以上前の厚生労働省の資料には必ず地域包括や地域連携といった表記がありました。

調剤報酬改定の内容において、この類の出席回数が盛り込まれた記憶が新しいです。

調剤基本料1であれば、地域連携地域包括の勉強会に1回の参加でいいんですが
1以外の場合は非常に厳しい。5回はなかなかシフト上いけないことも
多い。この5回、は一体どういう基準で言ったのか疑問視されています。

調剤報酬に絡められていない時期は薬剤師はほとんど参加していなかった印象がある
地域包括や地域医療連携勉強会。

今や薬剤師の人数の増加が激しく、研修会主催者も配分に苦慮している状況です。
(職種を満遍なく配分しテーブル分けして議事を進めるため)

 

後発品体制加算の点数おさらい

後発品体制加算の点数の復習もしておきましょう。
今回のジャネリックの回収。工場被災問題、納品ロックで
大きく%が動いてしまった薬局も多いと聞きます。

薬局に極めて不利益な今回のジェネリック安定供給の未達。
インフラカットの故、後発品体制加算の点数が減額。
薬局が点数を被った補償は一体どこに行くのでしょうか。

後発医薬品調剤体制加算 要件

後発医薬品調剤体制加算1 は15点
後発医薬品調剤体制加算2 は22点
後発医薬品調剤体制加算3 は28点
・2020年(平成32年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%だった。

・後発医薬品の数量シェアが著しく低い(40%以下)薬局は調剤基本料の2点減算。

自家製剤の製造工程

自家製剤加算を算定した場合、
製造工程を調剤録へ記載するを忘れないようにしましょう。

記載、といえば面倒に感じますがマスタを作成して
レセプト適用等に打ち込んでおけば安心。





賦形剤の名称、分量等を含め製剤工程を記載しましょう。
篩(ふるい)を使用した場合は何号を利用したのか。
割線に沿って割ったのか。割線模様なのか。
生物学的同等性については調べたのか。

このあたりが大事。

薬歴の新しい記載内容の再確認があった

薬歴については、地域によって記載内容ルールが本当にバラバラです。
ここで詳細は記載は省きますが、改めて記載された薬歴の記載ルールが
明記されたので抜粋して書いて起きます。

薬歴記載内容メモ

・患者の生活背景、病歴背景など詳細も記載する
・生活指導的な内容のみの薬歴は、算定内容を満たさない
・食事内容の見直し等のみの記載内容は算定内容を満たさない
・後発品の意向は記載し、先発希望だった場合も適宜ヒアリングする
・服薬指導計画の記載
・疾病についてはどんな病状が記載する
・ポリファーマシーの場合の言及

要は、薬歴ソフトにもよりますが個別指導の時に提出する際に
トップページにくる患者基礎情報の情報の盛り込みについて言及されています。

薬歴がどんなに完璧に記載されていても、患者基礎情報が未記入の場合は
指導されますから忘れないようにしましょう。

中堅薬剤師
患者基礎情報はついつい忘れちゃうわね。。病名もなかなかわかるものじゃないし。。

病名はわかるものだけでなく、何がないのか、なども大事ですので記載しましょう。
(緑内障がない、前立腺肥大は問題がないのかなど。)

次回は調剤報酬の理解のために、令和2年度の後半のチェックポイントを記載します。

薬剤師の書籍記事が人気になってきました。ぜひチェックしてください。

なんと MRの本が発売されました!
薬剤師さん待望の書籍笑
幻冬社から出ていますから見てみてください。
かなり具体的で面白い!!

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