服薬期間中のフォローアップが2020年の9月から施行。薬局薬剤師として、どのようにフォローを行い、それを記録管理していくのでしょうか。服薬期間中のフォローアップは努力義務ではなくて、服薬指導業務の一つとして履行する必要があります。かかりつけ薬剤師を算定しているのであれば一段階進んだフォローアップが必要。薬局薬剤師のあなたはもうすでに行なっていますか?知らなかった内容ですか?すでに実行しているのであれば今回の、くじら薬剤師のブログは不要かも知れません。引き続き、定例的にきちんとメリハリのつけた服薬期間中のフォローアップを行いましょう。
今回のくじら薬剤師ブログ
- 服薬期間中のフォローアップとはその秘訣を短時間でチェック
- 忘れやすい かかりつけ薬剤師算定注意事項
- 服薬期間中のフォローアップは完成形の雛形は今はない。各自の判断で良い
- 今後さらに情報発信、手引きの更新があるので焦らない
- フォローアップの内容は今後アップデートされるので注意する
くじら薬剤師はこんな人
こんにちわ。この薬剤師ブログを書きましたくじら薬剤師です。
大手薬局チェーン経験後、医療過疎地域での苦労した薬局運営を体験後に中規模薬局チェーンへ転職。小規模の薬局運営と、運営組織力の向上、薬剤師のヒト的問題の解決、小規模薬局の独自運営をサポートし広く活動中。小規模の薬局運営のコツと方法を力強くサポート。転職が多く困る法人からの相談後3年離職率がほぼ0へ。全ては人の問題です。運営で困っておりましたらお気軽にお問い合わせから相談されてください!薬局MAなど薬局譲渡、売却先を考えておられる方も相談されてください。薬剤師転職相談も承っております。ツイッターもフォローしてね!
服薬期間中のフォローとは?最速でチェック
薬機法上にフォローアップが明確化
・もしフォローアップをしていなければ、過去は現場薬剤師の責任だったが、開設者の責任も明確に。
・まずは、対象患者を絞って行う。まずは限定的に行うこと。
フォローアップは義務。努力ではなく義務になっています。薬局運営責任者として知らなかったということが無いように。開設者としては定期的に指示、内容の確認を行うようにすることが非常に重要です。区間数ヶ月で1件もフォローアップしていないようなことがないようにしましょう。
まずは平成30年(2018年)薬機法改正の薬局のあり方のまとめを見ておく。
平成30年の12月に、薬機法改正が行われ、薬局のあり方が厚生労働省から取りまとめが発表されています。
薬局のあり方のまとめを見てみましょう。これを理解していないと、ただの作業になってしまいます。
薬剤師薬局のあり方抜粋(厚生労働省発令)
- 地域包括ケアシステムの中、継続的な服薬指導を行う(継続的,という記載が明記されました)
- 健康食品、OTCの服用も言及(薬歴指導では、健康食品服用の欄が空欄では、必ず突っ込まれるのがトレンドだった)
- 薬の有効性の確認、副作用有害事象の有無の明記
- 薬剤師による確認内容によっては、かかりつけ医師(歯科含む)への情報提供の必要性を明記
- 在宅医療は拡充をさらに進める、突破口としてまずは「がん薬物治療領域」への薬学専門的知識領域への舵きり。
- 患者自身に薬局選択という概念を設ける。そのための「高度薬学的管理機能型」、「地域連携薬局型」、「その他」
-
引用;文章そのまま転載。
患者に対する継続的な薬学的管理・指導を効果的に実施できるよう、薬剤師に、把握した患者の服薬状況等の情報や実 施した指導等の内容について記録することを義務づける - 医師への情報提供の努力義務明確化。
- オンライン服薬指導への舵きり
- かかりつけ薬局、薬剤師は改めて重要だと説明された(オンライン服薬指導はかかりつけ薬剤師がすべきと注訳もあり)
- 地域包括ケアシステムの中での薬剤師の勤務が明記
- 健康サポート機能は引き続き取り組み推奨記載あり
服薬期間中のフォローアップについての引用も見てみましょう。
引用: 2019年12月に公布された改正医薬品医療機器等法(改正薬機法) 2020年9月より施行
(薬剤師が、調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う」ことも義務化になった)調剤された薬剤に関する情報提供及び指導等 (第九条の三)
・調剤した薬剤を購入し、または譲り受けた者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握させるとともに、必要な情報を提供させ、または必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。
・薬局開設者は、薬剤師に情報の提供および指導を行わせたときは、当該薬剤師にその内容を記録させなければならない
フォローアップについてのまとめ
フォローアップのまとめメモ
・フォローアップは必須の作業。しかし全ての処方箋が対応すべきではない
・フォローアップの頻度は必要に応じる、という形。毎回全ての処方が対象ではない。
・服薬指導のフォローアップ開始の時期は、2020年9月。
・開始はまずは対象患者を絞り、手探りで行なって良い
・確認方法は、電話、SNS、お薬手帳等のITの活用でも良い
・フォローアップの介入前後の内容は薬歴、調剤録に明記する。前後が大事。
・OTC薬に関しても必ず飲んでいないかどうかの確認が必要。(空欄、無記載では確認事項にならない)
・患者ごとの特性、背景に応じたフォローアップが必要
・全ての薬剤師の判断に応じさせると作業は進まない。なのでまずは何に着目して行うか決める
・フォローアップの内容は、調剤録へも記載
・テレビ電話等における遠隔指導も2020年9月1日から開始
・現段階では、服薬期間中のフォローアップしなくでも罰則規定はない。指導対象とはなる可能性もある
・フォローアップを怠ったことによる副作用被害、被害における薬剤師責任も考慮される時代
服薬期間中のフォローアップは、そこに調剤報酬の算定をする必要がなくても、記録していく必要があります。
自ら患者宅へ電話等、メールやSNS等のツールを利用した発信でなくても患者側からの問い合わせでの記録でも問題ありません。
今回のフォローアップポイントとしては以下になります。
注意ポイント
・まずは患者を限定して行なっても良い
・調剤録へ記載。フォローアップ前後の内容も記載
・健康食品、OTCもさらに重視
・医薬品の副作用忌避はもちろん、患者背景や生活様式でも良い
・薬局で漠然と始めるのでなく、まずはどういった患者に絞るか決める
調剤録への記載が難しい?
服薬期間中のフォローアップの記載は薬歴への記載は必須です。ちなみにフォロアップの理由、介入後の状況も合わせて記載してい来ましょう・
当然にはなりますが患者特性、背景に伴う患者内容の把握は薬歴へ記載だけでなく、患者基礎項目と言われる(薬歴ソフトにより異なります。薬歴を印刷する時に一番上に印刷されるような項目です)といった箇所に把握して内容を記載する必要があります。
調剤録への記載に関してですがこれは各社の薬歴ソフトが追従してくるでしょう。
一方でそれまでの作業として打つ手がない場合には、調剤録へ手書き記載などはせずに薬歴記載内容を添付別添し保管するようにしましょう。
お薬手帳でフォローアップはダメなの?
新しい薬剤が出た場合に、考慮すべき内容、危惧する内容をお薬手帳に別添し、出たか出ないか患者自身へ記載してもらう。その形でも好ましいかも知れません。一例を記載しておきます。
フォローメモ
例: 今回出ましたお薬における注意事項は***です。
あり ・ なし (次回までに記載されてください)
***を感じる、倦怠感を感じる、発熱した等ありましたらすぐ申し出てください。
昼の服用忘れ : (あり ・ なし )
例2: 服用における注意事項は***です
***が可能でしたか? ( 可能 ・ 難しい )
薬局緊急連絡先;***ー****
患者特性って、フォローアップ手引きにあるけど何?
薬局薬剤師としては、薬剤における副作用被害、体調変化に関してばかり思わずチェックしてしまいがちですが今回の服薬期間中のフォローアップの記載内容としてはまた異なります。
患者特性とは
・本当に水で服用しているか?水の量は?
・実際の服用回数 (本当に指示通り飲んでいるか?)
・食事の回数と量。そしてその内容
・特別な健康食品やサプリメントのチェック
・服用、動作時における内容のチェック(吸入とは別)
・睡眠の実際と対応、睡眠時における行動のヒアリング
・糖尿病関連に関しては手技や保管、残薬、低血糖症状の具体的な内容のあり なしチェック
・服薬介助の状況
・尿意、タイミング
・食事の量の実際
・注射系の保管、効果、作業労作の不安
・風邪症状悪化における体調変化
フォローアップをするにはまずは着目する内容があるべき
漠然と、薬局で「じゃあ今日から服薬期間中のフォローアップしよう」を初めても、おそらく作業は進まないでしょう。
まずは何に着目していくのか決めることが重要。薬局により受ける科目等で状況が異なると思います。
簡単な流れ
- まずは患者を絞ってみる(絞る理由は薬局で決める)
- 重篤な薬品、副作用注視出なくていい。簡単な内容でも良い
- 信頼関係は最低限必要となるので注意
(副作用の確認は服薬拒否に直結するので慎重に行う) - 投薬後、どのくらい日数が経過してから行うか決める
- 確認後、調剤録へ記載する。
- フォローアップ後に来局された場合、フォロー後の内容を薬歴へ転載する
- フォロー後の内容は改めて調剤録へ添付(システムによっては記載可)
- 定期でDrへ報告する必要があるものは報告する
ポイント
フォローする内容をまずは絞ることが一番のポイント
フォローアップに不安があればチェックしよう
フォローアップは服薬指導の知識がないと実行できません。
まずは難しい内容でなくても構いませんが、踏み込んだフォローと報告をする必要があります。
そんな中、実際どういうチェックをすればいいか不安になりませんか??
そんな方はきちんと病態別にチェックしておきましょう。
また、服薬指導にも再注目されていますから、服薬指導における知識もアップデートする必要があります。おすすめの2選はこれです。
処方箋から推論する時に読む本はこれがおすすめです。ぜひチェックしましょう
まだまだ 服薬期間中のフォローアップは今後アップデートされると公式から発表されています。
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吸入薬指導加算を解決したい
吸入薬指導加算の算定開始は2020年。薬剤師が算定できる診療報酬として、過去は同程度での薬局投薬作業でも無料の診療報酬だった内容を点数付けされ薬剤師としてのインセンティブとして大きな一歩を世に踏み出し ...
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